開催日程・チケット情報
メッセージ
escher × 日本テセレーションデザイン協会(荒木義明・中村 誠・藤田 伸)
日本テセレーションデザイン協会は数学者の荒木義明さんが代表を務める1998年のエッシャー生誕100周年の国際会議を機に設立した敷きつめ(テセレーション)から広がる楽しさを啓蒙するNPO団体です。「ミラクル エッシャー展」ではイベントやグッズのプロデュースでもご協力いただいています。
多感な高校3年の時に『ゲーデル、エッシャー、バッハ - あるいは不思議の環』※という本でエッシャーの絵に出会いました。数学・音楽・絵画に共通するなにかに強く惹かれ、その不思議と面白さをそれ以来ずっと探究しています。

エッシャー生誕120年という節目に開催される「ミラクル エッシャー展」で、新たなエッシャーの魅力を見つけてほしいです。「だまし絵」という一括りで語られることのあるエッシャー作品ですが、その色眼鏡を外し自分の眼でじっくり作品に向き合ういいチャンスです。小手先のトリックではないエッシャーの数理的な探究の軌跡をぜひ感じ取ってみてください。

「ミラクル エッシャー展」で是非見ていただきたい作品は《発展Ⅱ》です。この作品は敷きつめを使って無限を描き出そうという数理的な探究の中で描かれた1枚です。エッシャー自身は無限を描き出す本来の目的では物足りなさがあったようですが、見方によって渦を巻くように這い上がるトカゲ達の姿を見て取ることができます。エッシャーが試行錯誤する姿に思いを馳せながら鑑賞してみてください。
荒木義明
Profile:荒木 義明(あらき・よしあき)/ 数学者・日本テセレーション協会代表
1973年生まれ。 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。 博士(政策・メディア)。専門は敷きつめ(テセレーション)の数理。 パズルを使ったワークショップでの教育活動を主に行う。 ERATO伊丹分子ナノカーボンプロジェクトの連携研究員として、ナノカーボンの設計研究にも携わる。http://www.tessellation.jp/
※『ゲーデル、エッシャー、バッハ - あるいは不思議の環』(Godel, Escher, Bach: an Eternal Golden Braid)…アメリカの認知科学、計算機科学の学者ダグラス・R・ホフスタッターによる、1979年に米国で刊行された一般向けの科学書。世界的なベストセラーとなるが「本当は何を書いた本なのか?」多くの読者を悩ませているといわれる難解本。
かれこれ50年程前、たまたま図書館で見ていた雑誌の挿絵に《騎手》の図版が載っていたのがエッシャーとの出会いです。図と地が同じ図形で、しかも幾何学的な形ではなく、馬や人等の具体的な図形が反転したこの様な絵の図法は今までにまったく見た事の無いもので、いわゆる「アハ体験 Aha-Erlebnis」※というものでしょうか、それ以来虜になっています。

今回の様な本格的なエッシャー展はエッシャー芸術の全体像を自分の目で見て体験し理解するまたとない機会だと思います。エッシャー芸術は人と世界(宇宙)の関係性を我々の日常の感覚を超えて、とても深く広く扱っています。「ミラクル エッシャー展」は普段私たちのバイアスの掛かった感覚で見ると単なるだまし絵にしか見えないかもしれません。しかし、丹念に見ていけばエッシャーこそリアルな世界に近づこうと努力した作家だと解って頂けるでしょう。私自身は長年、エッシャーのテセレーション(敷きつめ)に啓発されてその表現の可能性を試して来た者として、ぜひこれを機会にテセレーションの魅力を体験して頂きたいと思います。

《空と水Ⅰ》余計な説明の無いシンプルな平面分割ですが、豊かな広い世界を感じさせてくれます。

《メタモルフォーゼⅠ、Ⅱ》「始めに光ありき」ではなくて「始めにパターンありき」だとエッシャーは言いたいのかもしれません。混沌→パターン→構造、で世界は構成されて行く様子が面白いですね。
中村 誠
Profile:中村 誠(なかむら・まこと)/グラフィックデザイナー・日本テセレーション協会会員
1947年生まれ。多摩美術大学デザイン科プロダクト専攻卒業。敷きつめ模様のデザインを世界でも先駆的に創作した作家。 エッシャーが芸術性を高めたデザイン技法を球面に応用するなど、敷きつめを用いた数々の作品を発表している。
http://tessella.sakura.ne.jp/home.index.html
※「アハ体験」…何かをひらめいたり、気づいたりした時に感じる「あっ!」という感覚を伴った体験の事。この瞬間に実際に脳が活性化するといわれ、脳科学の分野でも注目されている。
30年以上前に『エッシャー《シンメトリーの世界》』※という本に出会ったおかげで、くり返し模様の仕組み研究にハマり30年間続ける羽目に陥りました。エッシャーの版画作品は刷りもエッシャー自身が手掛けているので、その現物はさまざまなことを語りかけてくれます。今回も何かを気付かせてくれることでしょう。同時に、人跡未踏の領域を独り歩いたエッシャーの信念と根気を、あらためて感じ取りたいと思います。

「ミラクル エッシャー展」で展示される作品はどの作品も素晴らしいのですが、なかでも個人的なハイライトは《メタモルフォーゼⅡ》です。長尺ゆえ、画集では分割あるいは縮小での掲載となりますが、この展覧会では原寸・現物を堪能することができます。この機会を逃してはなりません。
藤田 伸
Profile:藤田 伸(ふじた・しん)
グラフィックデザイナー・多摩美術大学統合デザイン学科非常勤講師・日本テセレーション協会会員
1957年生まれ。多摩美術大学デザイン科グラフィック専攻卒業。敷きつめやシンメトリーをテーマに研究・創作活動を行う。著書に『装飾パターンの法則 ―フェドロフ、エッシャー、ペンローズ―』などがある。有限会社リピートアート代表取締役。
http://shinfujita.com/

※『エッシャー《シンメトリーの世界》』…1980年に出版されたC.H.マックギラフィによる、エッシャーの不思議なシンメトリーの絵と世界を、図版を元に解説した本。
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《メタモルフォーゼⅡ》1939-1940年

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